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リーダーとして、組織を覆う閉塞感を打ち破ることが出来ていますか?
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リーダーとして、組織を覆う閉塞感を打ち破ることが出来ていますか?

[更新: 2019年10月14日 / カテゴリ: リーダーシップ・コーチング]

あなたの組織、下記の問いにいくつ○がつきますか?

1) 社内での呼び方は「●●部長」と肩書きで呼ぶのが儀礼である
2) 新ビジネスや新しいやり方に対して、社内で飛び交う言葉はまずは「それって難しいね」である
3) 会議では、決まった議事の通り、粛々と始まり、発言は最小限で終わる
4) 会議では、一番役職の偉い人が一人で話して、参加者の発言はまれである
5) 社内の人事異動では、年次や出身校が大いに考慮されている
6) 社内の人事異動では、大方の予想が外れない予想通りの人事になっている
7) 社内では「まず、何年入社?」と年次を確認するのが挨拶代わりになっている
8) 社内の手続きが煩雑で、簡単なことをやろうとしても、複数の書類に記入して承認を回すことが決まっている
9) 社内の手続き書類の書式がもう何年も見直されていないままになっている
10) 隣の部署が何をしているのか、余り聞こえてこない

さて、この10個の設問に対して、あなたの働く会社では、いくつ当てはまるでしょうか?○がたくさん付けば付くほど、「閉塞感が支配する職場」である可能性が高いです。 そして、○がたくさん付く組織であればあるほど、若者がすぐに辞めてしまう組織でもあるのです。彼らは「閉塞感」の非常に敏感です。

組織を覆う「閉塞感」の正体とは?

現在私は、トレーニングや研修などを通して、毎年数十社の日本企業の方々とお会いする機会があります。そして例外なく、その多くのマネージャーの方々が社内にある「閉塞感」についてお話をされます。そして、上記の問いかけをすると、ほとんどが当てはまるとお答えになるケースが非常に多いです。この数年で少しずつ変化の兆しも見えてきているとは思うのですが、日本の職場を取り巻くこの「漠然とした閉塞感」の正体はなんなのでしようか?

誤解を恐れすに言えばこの数十年、日本企業の得意としてきた主戦場は、「一定のルールや仕組みの中で、技術や効率、生産性や品質等の競争の中で、細かな改善を重ねながら、非常に緻密な実践(エグゼキューション)をしていくこと」だったと言えるでしょう。そして、これらをお家芸として実践する組織の意思決定システムには、いくつかの特徴があります。
ひとつは、何かをやろうというとき、論理の連続性や一貫性、あるいはその組織が今までやってきたことの継続性(所与性とも言います)が重視されることです。
また、社員の「考え方」や「思考・行動の軸のつくり方」は統一されており、しかもそれは代々受け継がれています。何かを変えようとしても、「前例がない」「それは難しい」の一言で一蹴されがちです。
さらに言えば、尖った発想や異分子的考えを持つ人物はゆっくりと排除され、最終的にはあうんの呼吸で意思疎通が出来、意見の相違のない人達が集まる集合体になっていることです。
日本が得意としてきた製造業においては、基本的に品質を上けるということは「振れ幅」=標準偏差を減らすことでもあるため、リスクはできる限り潰そうとするのが組織の志向性となります。このスタイルはロジカルシンキングや分析思考と言われるものと相性が良く、QC活動という現場での実践方法とも相まって、こういうやり方に関して日本は世界一、あるいは世界最高水準であると考えられます。そもそも、宅配便の再配達を2時間刻みで依頼できる国は世界を見渡しても日本以外にはありません。

組織を覆う「閉塞感」が産み出すもの

もちろんこのアプローチで結果は出ていますし、批判する気もまったくありません。しかし、トレードオフもあります。それは、基本的には組織階級ヒエラルキーか生まれやすいということ、また、リスクの指摘が良しとされるため批判的な議論やリスクへッジ的な行動が必要以上に増加するということです。端的に言うと、なにかを「やらない/できない理由を考える天才」が増えるのです。批判するのは簡単です。そして、リスクを指摘する行為は、いかにも思慮深いという印象を周りに与えることが出来るため、仕事が出来る奴というラベル付けがされやすくなるバイアスが生まれます。結果的に、失敗せずに出世したいという社内評論家社員を量産するモメンタムを生みます。

また、このような行動規範や論理を強制し、目標達成を強要し続けると、どこかのタイミングで限界が訪れます。極論すれば、ロジカルシンキングで行き着く「正解」は、論理的に同じロジカルシンキングを行う競合もたどり着くことができてしまうため、結果的にレッドオーシャンの中で血で血を洗う不毛な消耗戦に発展しやすいことも事実です。さらに言うと、「改ざん」のような不正も、このような限界にぶち当たったときに、ガバナンスの機能不全、あるいは硬直化した企業文化が生む長年蓄積されてきた歪みと組み合わさって起こります。昨今のニュースになっていることも、その原因はこの部分にあるのではないでしょうか。

組織を覆う「閉塞感」を放置するのも、変えるのもリーダー次第

ここ30年の間に社会環境は日々大きな変化を遂げ、絶え間なく変化する「VUCA【Volatility(不安定)Uncertainty(不確実)Complexity(複雑性)Ambiguity(曖昧性)】」の度合いはますます激しくなっています。
この多くの組織を覆う閉塞感の正体は、世の中の不確実性が増大し続けるなか、本来は、「そもそも論」や「今までの制約を取り払った自由な発想」といった、前述のような組織の論理の連続性や一貫性、あるいはその組織が今までやってきたことの継続性(所与性)と言った制約の外を目指す本質的かつクリエイティブな発想をしたいのに、それかできない「空気」があるからだと考えられます。仕事のやりかたに大きなパラダイム・シフトが起きようとしている、あるいは起こさなければいけないと考えているからこそ、閉塞感を感じ取っているのだとも言えるのではないでしょうか。その閉塞感を作り出している(産み出されたものをそのままにしている)のは、他の誰でもない、その組織のリーダーなのです。

リーダーとして、制約の多い組織・意思決定システムのなかに、「新しい挑戦と向き合う」ための余裕をつくることができるかどうか。
必要なのは、「やらない・出来ない理由を考える天才」ではなく、「そもそも論の問いかけ」や、「やる理由・出来るやり方を考えるチーム」です。
そして、「どうすれば●●が出来るのだろうか?」と考えることが許されるダイバーシティや多様性を備えた組織風土です。

あなたの組織は、同調性の圧力や所与性の慣性モーメントに侵されていないでしょうか?
職歴や年次などは誰も気にせず、そもそも論が自由に言える組織でしょうか?

実は、WorldArxが最近のコーチングでご提供させていただくポイントのひとつが、
「メンバーが自由闊達に『今までを否定しうるような問い』を立てられるような風土をいかにリーダーが創り上げるか?」なのです。
「リーダーがメンバーに問いかけを投げかける」のは、もはや当たり前です。
その先を考えてみませんか?
リーダー自身が変わらなくては、組織は変わりません。
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