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【連載第1回】呪縛としての「研修」を解く — トレーニング万能症候群が組織を殺す

【連載第1回】呪縛としての「研修」を解く — トレーニング万能症候群が組織を殺す

[更新: 2026年05月01日 / カテゴリ: 営業改革コンサルティング]
『今回の研修も、アンケートの結果は非常に良好でした。受講者の満足度は5点満点中4.8です』

担当者からの報告に安堵する経営者や人事部長の姿。しかし、その安堵こそが「変革の停滞」を招く最大の罠であることに、どれほどのリーダーが気づいているでしょうか。多額のコストと貴重な時間を投じて行われる数々のトレーニング。しかし、とどのつまり、研修という「点」の施策をいくら打ち上げたところで、組織という巨大な岩盤が動き出すことはありません。

「トレーニング万能症候群」の構造的欠陥

私が「トレーニング万ポ症候群」と呼ぶこの現象は、あたかも最新のOS(スキル)をインストールすれば、古いハードウェア(組織構造)がそのまま最新鋭の動きをすると信じ込む一種の集団幻想です。

多くの組織は、個人の「能力」が足りないから結果が出ないのだと考え、スキルアップのための処方箋を書きます。しかし、現場が動かない本質的な理由は、能力の欠如ではなく、学んだことを実践しても評価されない、あるいは実践するよりも従来の「我流」で通したほうが短期的な摩擦が少なくて済むという、「環境の引力」にあります。
この引力を無視したスキル注入は、砂漠に水を撒くようなものです。一瞬は潤いを見せますが、すぐに蒸発し、後には「また新しいのが始まったが、どうせ数ヶ月で終わるだろう」という現場のシニシズム(冷笑主義)だけが残ります。この「学習性無力感」が組織に蔓延することこそが、トレーニング万能症候群がもたらす最大の副作用なのです。

「関係の質」という土壌の再設計

Growth Enablementが目指すのは、スキルの注入ではなく、ダニエル・キム氏が提唱する「組織の成功循環モデル」の根源的な修正にあります。

結果が出ない組織は、焦りから「結果の質」を無理やり上げようと、マイクロマネジメントという名の「行動の質」への過度な介入を強めます。しかし、これは循環を逆流させる行為に他なりません。私たちが最初に行うのは、循環の起点である「関係の質」の再定義です。
▲組織の成功循環モデル
この土壌が整って初めて、メンバーの「思考」は柔軟性を持ち、これまでの成功体験という殻を破ることができます。そこから生み出される「自発的な行動」が「持続的な結果」へと結びつくのです。研修を「点」で終わらせず、組織が自律的に成長し続ける「循環」の一部として再定義すること。それが、WorldArxが提唱するGrowth Enablementの第一歩です。
次回予告:
組織の「土壌」を整えた次に必要となるのは、その上に建てる揺るぎない「骨組み」です。次回は、組織に再現性をもたらす「Discipline(規律)」の正体と、それを支える成長の仕組みについて深掘りします。

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