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営業は本当に人間にしか出来ない仕事なのか?人工知能で営業がいらなくなる時代?
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営業は本当に人間にしか出来ない仕事なのか?人工知能で営業がいらなくなる時代?

[更新: 2016年12月22日 / カテゴリ: エグゼクティブ・コーチング]
営業という仕事は、人間が接点だからこそ、人間が主役であると考えられてきた職種の一つだと言えます。しかし、それが転換点を迎えつつあります。

営業のあり方の変化

従来の営業のあり方も大きな変化を遂げています。客先へ訪問する外勤型のフィールドセールス(外勤営業)に対し、内勤で電話でのコミュニケーションを通して営業をするインサイドセールス(内勤営業)が多くの業界、企業で検討され、そして実際に導入、普及してきています。もともとは、インサイドセールスは、アメリカが発祥と言われています。国土面積の広いアメリカでは、取引先を効率よくまわることが難しいため、もとより電話での営業活動が活発でした。そしてその部門のことを内勤型営業、つまりインサイドセールスと呼んでいました。今、主流になってきているのはインサイドセールスとフィールドセールスの組み合わせです。この2つはハンター型とファーマー型と言われるように、もともと得意分野が違います。ハンター型は短期間で売上を上げる活動、ファーマー型は顧客との長期的な関係育成が得意。両者を組み合わせることで、効率も良く、成果も出せる営業組織を作り上げるとされ、導入する企業が増えています。しかし、企業にとってのそもそもの狙いは販売管理費の低減なのです。

営業活動の質的変化が求められている

言うまでもなく、挨拶回りで案件を受注できる時代は終わっています。夜討ち朝駆け、気合いと根性、顧客との良好な関係性で受注するというのは残念ながら古き良き時代の話です。日本にはまだあまり馴染みのない手法なのですが、欧米では営業活動を数値化し、サイエンスとして扱う土壌があります。米国で調査会社としてスタートしたCEBと言う企業は、数多くの企業における営業とマーケティングのベストプラクティスを追跡調査し、常に良い成績を残している営業の行動特性を抽出し、有意に相関のある行動をまとめて、コンサルティングやトレーニングとして提供しているのはその一例です。そういった、サイエンスとして研究された営業活動のエッセンスをシステム化した結果がSFA(Sales Force Automation)だと言えるでしょう。最近では、営業改革コンサルティングは、SFAの一環として『引き合いの発掘から育成さらには受注へつなげるマーケティング手法』と組み合わせて用いられる傾向があります。つまり、顧客が購買ステージのどの段階にあるのか、見極め、適切な情報提供を継続し、実際の購買に行う段階でより積極的に内勤営業+外勤営業が関与するという形です。SFAの顧客購買行動に関する状態をデータベース化し、その状態により、購買活動を促進させる標準施策を営業が実施することで、営業活動の良い意味での脱属人化と質の均一化を図ろうという試みです。従来のように属人的な要素を排除し、案件の受注確率を高めることが狙いです。営業活動を、顧客の購買行動モデルを中心に、サイエンスとして研究し、最も有意な相関を持つ効果的な行動を行う。営業活動にも、そういった質的な転換が求められているのです。

営業人材が不足している

日本における有効求人倍率(求職者1名に対しての求人件数の割合)は、2011年度は0.65倍でした。つまり、求職者1名に対し0.65件しか求人が出ていない為、圧倒的な買い手市場(企業側が有利)となっていたのです。しかしそこから徐々に回復の兆しを見せ始め、2013年度の10月には1.03倍となり、1.0倍を上回って売り手市場へと転換しました。さらに2016年10月の厚生労働省の発表の最新のデータでは、ついに1.4倍となっています。つまり状況は一変し、ここ数年で「優秀な営業人材」の採用は急激に難易度があがり、熾烈な採用競争となっているのです。

営業のアウトソーシングの普及

以上の、販売管理費の低減、営業活動の質的変化の重要性、営業人材の不足と言った3つの要素が折り重なって、企業は営業部門をどうするべきかをゼロベースで見直すタイミングに来ています。すでにある業界では、営業をアウトソースすることが一般化しつつあります。営業アウトソーシング市場は既に国内でも700億円の規模に達しているという調査もあります。また、そのアウトソーシングの内容も変化を遂げてきています。営業のアウトソーシングが日本国内で展開され始めた2011年頃には、まだ顧客一件に電話コールを行っていくら対価を支払うかという、営業行為そのものをアウトソーシングしていましたが、最近の傾向は、成約ベースや案件発掘した結果に対して対価を支払う形に変わってきています。つまり、単なるコスト削減だけではなく、SFAシステムによる、『顧客購買プロセス対応の自動化』の一環の中で、営業のアウトソーシングがさらに一歩深い形で行われるようになっています。 そもそも、販売管理費の中で大きな比率を占める営業部門を自社で抱える必要があるのか?という議論もあり、結果として成果ベース契約で営業活動をアウトソーシングしたり、あるいは、営業部門を全社で派遣会社にそのまま移管すると言うことも徐々に増えてきています。

電話の向こうの内勤営業がAIに変わったのを気付かなくなる時代が来る?

最近話題に上ることの多い、人工知能(AI)。実はそのAIの実装が進んでいる分野の一つは、オンラインゲームのゲームキャラクターのキャラクター作りなのです。緻密なグラフィクスデザインと場面設定の中で、あたかも人間のようなキャラクターを持ち、意思を持ったかの如く行動・反応する登場人物達です。実はこのゲームキャラクター達は、その意思決定が階層化されており、人間で言えば脊髄反射のような反射的な反応と、論理的な反応と、抽象的な反応をそれぞれ階層的に行うことが可能になってきています。(端的に言えば、知性は階層化されるほど賢くなっていきます)この階層化された意思決定・反応モデルで実装された、ゲームキャラクターの人工知能に【CERA-CRANIUM認識モデル】というモデルがあります。オンラインゲームの世界に、人間と人工知能がゲーム上で戦って、【ん?この対戦相手はもしかして人間?】と一番人間に間違われた人工知能が優勝する「2K BotPrizeコンテスト」というコンテスト があります。これは、『人間よりゲームに強いかどうか?』ではなく、『最も人間に間違えられた人工知能』が優勝するというコンテストであり、いわば、ゲームを使ったチューリングテストとも言えます。そして、この階層化された意思決定モデルで実装されたキャラクターがあたかも人間であるかのように振る舞い、戦った人間に、この相手はもしかして人間ではないか?と思わせるような結果が出ているのです。今後は、正確さのみならず、こう言った『人間らしい対応』をする人工知能が出てきます。
では、いささか突飛ではありますが、先程の内勤営業のケースを考えてみましょう。チャットで営業的な情報のやりとりを行うことが当たり前になったときに、これからはネットの向こう側で問い合わせている買い手であるあなたに対応してくれているのがAI(人工知能)に切り替わっていることは可能性としてあり得えるわけです。既に、銀行の問い合わせ業務などでは人工知能が実際に利用され始めています。では、営業活動という点から考えてみると、顧客の購買行動をパターン化してデータベース化が進んだSFAに人工知能のモジュールが組み込まれ、非常に質の高いかつ均質な顧客対応を導き出すこともあり得ます。具体的なイメージとしては、SFAのシステムからメールが届き、『Aさん、X社のYさんが、弊社のホームページの●●●ソリューションのページを先週6回、▲▲▲を7回閲覧しています。最初の問い合わせと訪問から2ヶ月経過していることですし、そろそろフォローアップのコールをするタイミングではありませんか?』という感じです。それほど飛躍したSF的なイメージではない。そんなふうにお感じになった方も多いのでは無いでしょうか?つまり、AIが人間に次のアクションの指示を出すというイメージです。

未知の領域を考えてみましょう

人工知能は端的に言えば、オートメーションの新しい形であり、企業にとっては当面は新たな付加価値を生むと言うよりも、まずは人間に近い領域までも自動化するコスト削減のための最有力手段として普及するでしょう。わかりやすく表現するならば、人間とペアを組みながら協働する人工知能がより一般的になると想定できます。それ故に、人間は脅威を感じて怖れているのが現在の状況であるとも言えます。それはすなわち、それは歴史的に見ても社会インフラが大きく変わるときに起こる反応であるとも言えるのですが・・・。営業という職種で考えれば、現在のSFAと人間の営業の組み合わせが、AIの要素を持つSFAシステムと人間の営業の組み合わせとして普及することが可能性として十分予想されるわけです。果たして、その時に『人間の営業』が行う仕事の内容は何なのでしょうか?そして、どれぐらいの数の人間の営業が必要なのでしょうか?さらには、その時の営業マネージャーの役割はどのようなものになるのでしょうか?皆さんは考えたことがありますか?

※本稿は、弊社がビジネスパートナーとして参画している、株式会社グレディスのBlogに特別寄稿したものです。
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