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企業が理解しておく必要がある「キャリア自律」の最新動向、ご存じですか?
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企業が理解しておく必要がある「キャリア自律」の最新動向、ご存じですか?

[更新: 2016年12月29日 / カテゴリ: キャリア自律]
「キャリア自律」という言葉・概念は、いまでは当たり前のように使われ、企業におけるキャリア自律の重要性はますます高まっています。特に、2016年は「キャリア自律」においては、非常に大きな転換点を迎えた年だったと言えると思います。今年を締めくくるに当たって、ここ最近の「キャリア自律」を取り巻く最新動向を抑えておきましょう。

法律(職業能力開発促進法)が変わっています

ご存じの方もいらっしゃると思いますが、職業能力開発促進法が改正され、平成28年4月1日より施行されており、その中でキャリア自律そのものが法制化されています。さらに同法10条の3では事業主に対して、労働者が自らキャリア開発の設計・目標設定、そのための能力開発を行うことの支援を(努力)義務としています。より詳細には、「事業主が必要に応じて講ずる措置として、労働者が自ら職業能力の開発および向上に関する目標を定めることを容易にするために、業務の遂行に必要な技能などの事項に監視、キャリアコンサルティングの機会の確保、その他の援助を行うことを追加すること」とされています。さらに、「『キャリアコンサルティング』とは、労働者の職業の選択、職業生活設計または職業能力の開発および向上に関する相談に応じ、助言および指導を行うことを言う」とされています。また、同法30条の3~30条の29では、平成28年からキャリアコンサルティングを提供するキャリアコンサルタントが国家資格化(名称独占)され、企業内ではキャリアコンサルタントがキャリア開発支援を行うことが明確にうたわれています。また、同法3条の3からは、労働者に自身のキャリア開発における責任を課したことが明記されています。これは、解釈によっては、従業員側に「キャリア権」が確立し、企業が従業員のキャリア自律にきちんと対応することが求められているとも言えます。そして、この一連の法制化の動きの中で重要な点として、安倍内閣の下に組織された産業競争力会議により提起され、日本再興戦略の中に盛り込まれ、内閣による閣議決定を経て改正に至ったという、政府主導の手続きプロセスが存在している点です。すなわち、キャリア開発支援を事業主に実質的義務化したのは政府なのです。これにより、法制の観点からも、企業は今まで以上にキャリア自律に積極的に取り組まなくてはならなくなっていると言う現状があります。

人材流出を防ぐためのキャリア自律の重要性

日本における有効求人倍率(求職者1名に対しての求人件数の割合)は、2011年度は0.65倍でした。つまり、求職者1名に対し0.65件しか求人が出ていない為、圧倒的な買い手市場(企業側が有利)となっていたのです。しかしそこから徐々に回復の兆しを見せ始め、2013年度の10月には1.03倍となり、1.0倍を上回って売り手市場へと転換しました。さらに2016年10月の厚生労働省の発表の最新のデータでは、ついに1.4倍となっています。つまり状況は一変し、ここ数年で「優秀な人材」の採用は急激に難易度があがり、熾烈な採用競争となっているのです。つまり、裏返して言えば、今働いている従業員にどれほど働きがいを提供できるか。すなわち、今働いている従業員の個々人のライフキャリアに対して、企業側がどれほど柔軟な対応と働きがいを提供できるか?が、人材の流出を防ぎ、労働力を確保するための大きなポイントになっています。つまり、企業にとっては、労働力確保という観点からもキャリア自律の重要性はますます大きくなっているのです。

業績評価プロセスにおける大きな変化

別項で改めてくわしく取り上げますが、GEやヒューレット・パッカードやGAPやマイクロソフトといった名だたるグローバル企業では社員にA・B・Cといったランキングを付ける形の年次評価を取りやめる動きが活発になってきています。(日本では苦労のあげくようやく取り入れて定着したのに、何故なんだと頭を抱える人事部門の方々から様々なご相談を頂きます・・・)
個人のゴールを年に一度決めて、半年間に一回レビューミーティングをするという年次評価のサイクルでは、この「VUCA【Volatility(不安定)Uncertainty(不確実)Complexity(複雑性)Ambiguity(曖昧性)】な時代の中では、アジャイルな働き方が求められ、従来の年次ゴールの設定のやり方ではビジネスのスピードに追従できないのです。また、個人の業績やゴールが必ずしも全体のビジネスに貢献できているとは限らないという状況が生まれつつあります。弊社がパートナーシップ契約を結んでいる、米国のリサーチ・コンサルティング会社であるCEBの調査によれば、2002年から2012年の10年間で、ビジネスの収益性に占める社員のパフォーマンスのうち、個人タスクによるパフォーマンスの割合は78%から51%に低下し、そのかわりに仲間との協働よるパフォーマンスの割合が22%から49%へと大きく増加したという報告があります。また同報告書の中では、個人タスクと仲間との協働のパフォーマンスへの貢献度はほぼ同等であり、そしてそれは職種による差もほとんど見られないという結果も報告されています。つまり、個人ゴールを評価することが必ずしも組織のパフォーマンスを上げることに結びつかず、個人のゴール達成そのものよりも、メンバーの相互貢献=コラボレーションがビジネスの成果に大きく関係するようになっているという点です。
上記のランキングを付ける形の年次評価を取りやめる企業では、代わりに、日常的にリーダーとメンバーが『対話』の時間をこまめに取ることを重視し、それをリーダーの重要な役割として定義しています。その『対話』の中で、キャリア自律の考え方が重要な意味合いを持ちます。対話の中では、メンバーの主体性と意欲を高め、個人の価値観と同期を尊重しながら、本人の成長のためにキャリアプランを描くことをリーダーが支援するという重要な役割を担います。つまり、現場のリーダーがキャリア自律に対して正しく理解し、メンバーとの対話の中で支援していくマインドセットとスキルを身に付ける必要が出てきているのです。

日本の企業において、ここまで定着している評価システムを新しい形に変える(ある意味合いにおいては『戻す』)ことは、容易なことでは無いと思いますが、一方でこの評価システムのあり方の変化と、個々人のキャリア自律が重要な関連性を持っている点を着目しておくことは非常に重要な視点だと言えます。

御社の備えは万全ですか?

以上、最近のキャリア自律をめぐる大きな動きを3つの観点で見てきました。どれもこれからますます加速する動きであることは間違いありません。この3つの大きな流れの中で、企業は今一度、自社の「キャリア自律」への取り組みを再点検し、見直す時期が来ているのでは無いでしょうか。
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