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サードプレース、フォースプレースがますます重要に?~働き方改革のその後に重要な事とは?
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サードプレース、フォースプレースがますます重要に?~働き方改革のその後に重要な事とは?

[更新: 2017年08月31日 / カテゴリ: キャリア自律]

働き方改革がもたらすものは? 働き方の柔軟化とキャリア自律の関係

働き方改革の議論が盛んです。政府主導であれ、企業主導であれ、この働き方改革が具体的に一歩でも二歩でも進むことは、これからの働き方のありかたに大きな意味合いを持つことは間違いありません。しかし、忘れてはならない点があります。端的に言えば、政府主導や企業主導でこの働き方改革が進むときに、ややもするとその中身が「働かせ方改革」になってしまい、本来の働く人そのものの視点がすっぽりと抜け落ちてしまう可能性がある点です。

ここでは、働き手の一人称の視点で、働き方改革が進んだときに、働く一人一人がどのようなことを考えなくてはならなくなるのか、その点について論じてみようと思います。

まず、改めてではありますが、働き方改革の論点のいくつかをまとめてみましょう。

1)長時間労働問題
過労死、メンタル不全などの視点からの残業時間の削減

2)働く場所と働く時間の柔軟化
時差通勤、在宅勤務、テレワーク、裁量労働制度

3)業務の見直しによる生産性の向上
無駄な業務の排除、職務遂行の効率化、ITの活用
会議や打ち合わせの目的の明確化および削減
政府による強制力が伴うかどうか、企業がどれほど主体的にこれらの施策を進めるかどうかはまだまだ不透明な部分は否めませんが、これらの点は少しずつかも知れませんが、進捗して具体化していくと思われます。これらにより、働き手にとっては、「働き方」がより柔軟になる状況が出現します。働き手の一人称の視点で考えると、これは非常に素晴らしいことであると同時に、「働き方」が柔軟になる分だけ、働く人が強い意志と意欲と誇りを持ち、自ら自律的に仕事を見いだし、仕事を創り、仕事に取り組み、仕事を通じて成長し、人生を豊かにする努力が求められることを意味します。つまり、「働く側の一人一人が、自分の働き方を自律的に考え、自ら強い意志をもって実践することができるのか?」という問いを突きつけられているのではないでしょうか。

働き方改革時代にはもちろん「会社の姿勢」も問われていますが、それと同様に「働く側の覚悟」も問われていると言えます。もはやキャリア自律というのは決して聞き心地の良い夢物語や、青い鳥を追いかける話でもありません。働き方改革が進むと言うことは、「働く側の自律に関する覚悟」が求められるというフェーズに突入しているのです。

働き方が柔軟になったら、それで終わりではない

話はここで終わりません。実は、ここから先がさらに重要なポイントになると考えています。つまり、働き方を柔軟に変えた結果、手にした時間や資源を次にどこにどう投資するのか?という点です。WorldArxは、働き方改革が進展すると、サードプレースがますます重要になると考えています。

一時期、「サードプレイス」 (第3の場所)という言葉がもてはやされました。「サードプレイス」という概念を最初に提唱したのは、アメリカの都市生活学者のレイ・オルデンバーグです。1989年に発表された自著『The Great Good Place』の中で、都市に暮らす人々が「心のよりどころとして集う場所」をサードプレイスと名付けました。オルデンバーグは、その代表例としてイギリスのパブ、フランスのカフェ、ドイツのビアガーデンなどを挙げ、それらが自由でリラックスした雰囲気の対話を促し、キャリアにおける出会いの場や良好な人間関係を提供する重要な空間であると主張しています。つまり、会社でも家庭でもなく三番目の場所を持とうという趣旨であり、それによってそこにもう一つの自分の居場所を作り、生き甲斐を求めようと言うことが趣旨であると言えます。しかし、日本において「サードプレイス」 という言葉を使う場合には、そこにはまだまだ「企業で働くことがメインである」 というニュアンスが漂いますし、もしかすると、その言葉自身がもはや時代遅れになっているのかも知れません。これについては改めてくわしく書こうと思いますが、プロフェッショナルと職業の境目が良い意味で曖昧になりつつあるのだと考えています。その背景として、インターネットやテクノロジーの普及により自分がやりたいことを始める「参入障壁」 が下がったことが理由としてあります。Googleでその分野をリサーチし、Youtubeで見よう見まねで始め、WWW経由でレッスンを受け、成果や発表の場をBlogやSNSで告知し、さらにはネットで集客し、販売する。10年前であれば非常に苦労したこれら一連のプロセスが、テクノロジーの普及により比較的手軽に行うことが出来るようになりました。これらが「参入障壁」低く始められると、人は多様な居場所を多く作り始めることが出来るようになります。つまるところ、テクノロジーの進化が、人の生き方と働き方=ライフキャリアの変化に大きな影響を与えているのです。

会社と従業員の関係の見直しが必然として起きる

最近、副業に関する規定を緩やかにする企業が増えてきています。そして、ご存じの方も多いと思いますが、LIFE SHIFTという本が話題になりました。人生は100年の時代がやってきた。その中で、人の働き方も大きく変わるという趣旨の内容です。昨今の副業解禁は、まさにこのLIFE SHIFTで書かれていることが本格的に始まろうとしているとみることができます。今回の働き方改革は、長期的には『会社と従業員の関係の見直し』、言い換えれば、働き手と会社との雇用関係は非常に緩い疎結合の状態となり、緩やかな雇用関係の構築ということになると考えています。すなわち、これからは働く側が企業の関係を見直すということがごく普通のことになると捉えています。そして、2020年までには、個人が自分の生き様を実現する一つの手段として、逆に個人が会社を雇用するという図式に変わっていきます。つまり、従業員は仕事の効率を上げ、仕事が終わればいつでも会社から出られるような環境になる。退社後は副業で稼ぐのも自由、習い事でスキルを高めてもよし、家族との時間を楽しむのも自由。金曜日に限らず仕事が終わったら3時から美味しい料理とお酒を楽しむも良し。カイシャで成果をあげる人は賃金が上がるけれど、そこそこの仕事でよしとする人は、それなりの給料でよしとする。週に5日働く人もいれば、週に2日だけ仕事する人もいる。在宅勤務ももちろんOK。プロ並みの腕前を持っている趣味の世界があれば、セカンドプレイスどころか、サードプレイス、フォースプレイスをそれぞれ生き甲斐として実現する人もどんどん増える。その中の一つに会社という存在がある。こういった働き手と会社の緩い関係があたりまえになるのではないでしょうか。

これはつまり、『脱 会社』と表現できるかもしれません。端的に言えば、自分の人生に自分で責任を持つという意味で、個人事業主が自分にフィットする働き場所と働き方の一つとして副業と会社が同列のように存在するいう視点です。

そして、一つ付け加えるならば、日本では、働く人が自分で労働の内容と時間をコントロールするという考え方が弱いという点です。働き方改革の核心は、上記のような状況、つまり、働く人が自分の労働に関する主体的で自律的なコントロールを取り戻すことだといえるでしょう。

新しい可能性を自らが自律的に切り拓き、会社だけではなく、複数の場所でしっかりとした自分の居場所を作り上げ、さらにはその複数の場所に価値を提供し対価を得ていくような生き方・働き方です。これこそが、働き方改革の本質的なポイント、つまり働き手一人一人が持つべきキャリア自律の本来の視点だと言えるでしょう。

優秀な社員をつなぎ止めるために、会社は何が出来るのでしょうか?処遇、待遇と言った外的キャリアを変えることだけなのでしょうか?
働き方が多様化し、働く人の価値観が多様化する中で、企業が考える従来の「働く人は企業のもの」という企業中心型のキャリア論は限界に来ていることは明らかです。
御社は、こういった多様な働き方にどのように対応していらっしゃいますか?
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