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評価は「行動」成長は「考え」 ~ コンピテンシーを単なる評価ツールから人を育てる仕組みへ

評価は「行動」成長は「考え」 ~ コンピテンシーを単なる評価ツールから人を育てる仕組みへ

[更新: 2017年04月19日 / カテゴリ: リーダーシップスキル]
こちらの記事で、リーダーが持つべき『観察』のスキルの重要性を働き方改革の観点から触れてみました。
では、今回は、人を育てるリーダーという観点から、その『観察』スキルの重要性について触れてみたいと思います。

コンピテンシーの普及が進んでいる

コンピテンシー(行動基準)を人事施策の根幹として据え、全社展開を行っている企業が国内企業でも増えてきました。コンピテンシーを導入することは、全社共通の価値観に基づいた行動基準を持つことになり、組織の一体感が高まり、皆が同じ方向を目指すことにつながるという、大きなメリットがあります。さらに、具体的な人事の運用目的という観点からは、コンピテンシーには評価と育成という2つの側面があると考えられています。グローバル化する中で、労働時間や工数の多寡にかかわらず、合意した結果・成果を出す成果主義が一般的になりつつあり、拘束時間の長さに対する評価から、パフォーマンスの評価へと言う、根底的なパラダイムシフトの中で、このコンピテンシーも導入されるケースが多いように思います。

リーダーの大切なスキルの一つは観察すること

こちらでも書いていますが、WorldArxは、リーダーの大切なスキルの一つは観察することであると位置付けています。リーダーの『観察』するスキルをここで改めて定義してみましょう。それは、部下を漠然と日常の態度を漠然と時間軸の観点だけで眺めたり監視したりするのではなく、その人の仕事のプロセスと成果の品質をきちんと、じっくり、よく見ることだと定義したいと思います。 チームリーダーにとって観察とは、決して手を抜いてはならない大切な仕事であり、今の世の中のリーダーシップスキルの中でも最も重要なスキルだと言えると思います。繰り返しますが、物理的に監視をすることではありません。では、コンピテンシーを運用するの中で、何故この観察スキルが重要なのでしょうか?

公正に評価するための観察スキル

一つは、行動を見るため、つまり公正に評価するための観察スキルの重要性です。繰り返しになりますが、部下を漠然と日常の態度を漠然と時間軸の観点だけで眺めたり監視して『なんとなく良くやっているなぁ』で評価するのではなく、その人の仕事のプロセス=具体的な行動と成果の品質をきちんと、じっくりよく見るためです。もちろん、その為にはいつどのように何を具体的な行動として行ったか、どのような成果につながったか(あるいは改善点がありうるか)を観察し、さらには部下一人一人の行動記録をきちんと取ることが必須になります。事実、多くの企業のコンピテンシー評価者研修では、コンピテンシーを元に評価する際には、その行動を事実として具体的にきちんとの記録しなくてはならないという内容が含まれることが必須となっています。

人が育つと言うことはどういう事か?

公正に評価し、組織を健全に運営させるという観点で、行動に着目するコンピテンシーは非常に重要な考え方だと言えます。そして、現実論として、コンピテンシーを評価に軸足を置いて導入している企業が多いのではないでしょうか。しかし、おそらくコンピテンシーの最も重要な要素は、その行動の裏にある考えに焦点を当てることではないでしょうか。そもそも、人が成長すると言うことを考えたときに、『成長した行動』は『成長した心と考えが行動として外側に表出したもの』だと考えることができるはずです。つまり、考えをレベルアップさせ、先を読み、高い次元から考えられるようになることが人の成長そのものだと言えるわけです。そう考えたときに、このコンピテンシーの観点からは、その行動を支える考えを成長させるというポイントが浮かび上がってきます。

観察スキルを人の成長のために使うためには

先程述べた、日頃の観察記録がポイントになってきます。つまり、日頃の観察を行動だけではなく、どんな考えを持ってその行動を起こしていたかを、まずは想定で記録を付けるのです。さらに想像で書き留めるだけではなく、日常の対話の中で折に触れてメンバー本人に訊いて確かめていくことが必要な要素になります。こちらの想定・想像と本人の考えに違いがあっても当然です。あるいは、どんな考えで何に気をつけてその行動をしていたのか、とリーダーに問いかけられることが、ささいな行動をきちんと考えてから行うように行動が変容することにつながります。無意識に行っていたことを意識化させる、と言っても良いでしょう。週次の1対1のミーティングが単なる活動報告になっていたり、あるいは形骸化しているケースも多いようです。ここでもう一度、制度や仕組みとして、1対1のメンバーとのミーティングを『考えをどのように伸ばすべきか』という観点から見直しても良いのではないでしょうか。

コンピテンシーとリーダーの観察スキル

コンピテンシー研修を評価のために実施している企業がまだまだ多いと思いますが、コンピテンシーのもう一つの大きな軸である、人を育てるという観点からは、実は行動の裏にある考えに焦点を当て、リーダーが適切な対話を行うことが大きな成功要因であり、それを可能にするのが、リーダーが持つべき観察スキルなのです。
様々な導入事例を拝見させていただくのですが、年間育成プランを上司と部下で面談する際に、このコンピテンシーを使う企業であったとしても、行動レベルの目標設定になっているところがまだ大半であるように見受けます。本当に大切なのは、メンバーの考え方にきちんと焦点を当て、その上で行動目標を合意していく。そんな一手間が重要だと考えます。評価は「行動」、成長は「考え」に焦点を当てる。コンピテンシー運用の要点は、リーダーが確かな観察スキルを身に付け、背後にあるメンバーの考えを意識化させ、振り返らせる。さらにそれを日常の対話の中で回していくことだと言えるでしょう。
WorldArxは、リーダーが人を育てるために必要となる『観察スキル』を身に付けるワークショップを提供しています。お気軽にご相談ください。

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