Menu
Blog
「古いやり方を変え、リーダーシップを発揮し、部下を育てろ」と言われても ~ ミドルマネージャーの困惑

「古いやり方を変え、リーダーシップを発揮し、部下を育てろ」と言われても ~ ミドルマネージャーの困惑

[更新: 2017年06月29日 / カテゴリ: リーダーシップスキル]

ミドルマネージャーはつらいよ

現場リーダーに変革を促すケースが増えています。会社からこんな大号令が下ります「今後、この会社における行動規範やリーダーの人材像をこのように定義する。良しとする価値観はこれであり、求められる行動をこのような形でコンピテンシーとして定める。さらに、人事制度・報酬制度を転換する。実施は明日から。ミドルマネージャーである皆さんは、現場に改革を起こし、人を育てるリーダーとして変化して欲しい。」
確かに、顧客接点であるビジネスの現場と経営層をつなぎ、現場のやる気を維持し、ビジネス成果に対して責任を持つミドルマネージャーの役割は今までに無く重要になっていることは間違いないでしょう。しかも、日本の会社組織の課長クラスの、だいたい7割から9割くらいのマネジャーは「個人目標」をもっているとされています。つまり、ミドルマネージャーは、業務量が増大する中で、会社が替わっていく方向を部下が納得する形でかみ砕いて説明し、部下を育てながら、自らの行動を変容し、そして自らも課せられている個人目標とチームの目標両方を達成しなくてはならない状況なのです。すべてのしわ寄せがミドルマネージャーに行っていると言っても過言では無いのです。これはいくら何でもあまりにミドルマネージャーにとっては厳しい状況ではないでしょうか。
冒頭のかけ声の後に、多くの企業ではリーダーシップの理論が座学で講義されます。受講している人達の本音は、おそらくこういうものでしょう。
「今の業務だけで手一杯なのに、これ以上何をしろと言うんだ」
「そんなきれい事じゃ問題は片付かないよ」
「べき論を言われてもなぁ・・・」
「早く終わらないかな」

別項でも書きましたが、リーダーシップの理論を座学で研修しても、人の心と行動は変わりません。もちろん、普遍性や拡張性という観点からすると、理論の学習は非常に重要です。しかし、自らが前向きに事に当たっていこうと思わない限り、人は学び・変わって行くことは困難なのです。では、ミドルマネージャーが主体的に変革への意識を持つためには、どのような点を見ていくべきなのでしょうか?

今までの人生に疑問を抱く「中年の危機」

「中年の危機」とは、40歳前後の働き盛りの時期に、「果たして、今までの生き方でよかったのか?」「今が人生を変える最後のチャンスではないか?」といったように、これまでの人生に対する疑問が生まれる状態を言います。もともと心理学者ユングが、40歳前後を「人生の正午」と名付け、日が昇るようであった人生の前半期と、日が下っていく後半期との折り返し地点で、人は心理的な危機状況に陥ることを指摘したところから研究されてきました。40歳前後は体力や気力の本格的な衰えを感じる始める年代でもあり、企業等の組織に属していれば、「有限性の自覚」 つまり、ある程度自分の行く末が見えてくる時期でもあります。一方で仕事でも家庭でも責任が増し、日々のストレスが高まる世代です。こうしたことが相まって、これまで歩んできた人生に対し疑問が生じ、今後どう生きていくかを自問するようになるといわれます。とある調査によると、ミドルマネジャーの中心世代は40代前半であり、まさにその中年の危機が訪れる時期とも重なります。このようなときに、冒頭のような大号令が会社から下っても、人々は素直には受け入れがたい状況にある可能性があるのです。
このようなときに、重要な事は今までの自分を見つめ直すことだ、とされています。この「中年の危機」は、若い頃のように一生懸命努力を重ねれば克服できる類いのものではありません。ときには、これまでの自分の価値観や生き方を否定したり、自分にとって非常に重要な事柄を手放したりという決断をせざるを得ないこともあります。これまで獲得してきたものを捨てることも必要であり、そこに「中年の危機」を克服する難しさがあります。一方で、これまでの人生で培ってきたものが、今後の自分を支えることも事実です。では何を捨て、何を残したらよいのでしょうか?その答えを見つけるには、まず自分が心から「こうありたい」と思う将来ビジョンを見つけることが重要です。そのビジョンに向かって進むうちに、何が必要なのかが見えてきます。また「こうありたい」という強い気持ちが、先の見えない苦しさを乗り越える原動力にもなります。

自分の棚卸しと「ジブンゴト化」作業の重要性

ミドルマネージャーのリーダーシップスタイル変容という観点からは、以下の2つに着目することが重要であると考えています。

・自分が心から大切にしている価値観や仕事のやりがいを自らが知る
・世代継承性
人の中にはミドル期を過ぎると世代継承性への関心が強まる仕組みがビルトインされているのです。これを「世代継承性(人を育てたいという、心理的欲求)」と言います。

それらをひとまず棚卸し、自分の今の有り様を見つめ直し、今まで大事にしてきたこと、自分の中で残すこと、それらを活用してどのように自分がより必要とされる存在となるかを自分が考える機会を持つことが非常に重要です。これは、とりもなおさず、キャリア自律の観点そのものなのです。これらの自らの原動力を見つめ直し、さらに会社の求めるリーダシップ像や行動指針を、自分なりの原動力で色づけし、ジブンゴト化する。つまり、会社の提示したものと、自分が持っている・これからも大事にしたい要素を「共鳴」させるのです。この「共鳴=ジブンゴト化」の作業を行うと、受講している人達の目が輝いてくるのがわかります。
このキャリア自律視点のアプローチでリーダーシップスタイルのジブンゴト化ワークショップを受講をされた方からは、こんな発言が出ています。

「よし、それなら、自分なりのやり方で一丁やってみようじゃないか」
「戸惑っていたけれど、このやり方でも良いんだと自信を持つことが出来るようになった」
「大変さは変わらないけれど、やりがいを感じて取り組めるというのは今までと違うところです」
「どうやって手をつけて良いかわからなかったんですが、欲張らず、自分の出来ることを自分のスタイルで着実にやっていこうと思います」

リーダーシップを身に付け、実践するのは一人一人の普通の個人である。WorldArxはその基本的な部分を大切にします。リーダーシップの理論だけでは人はリーダーシップスタイルを身に付け、発揮することは出来ないと。キャリア自律の観点からミドルマネージャーの自立的な成長を支援し、意欲ややりがいの再発見につなげる支援策が重要です。
WorldArxでは、リーダーシップ研修の前段階としての、ミドルマネージャー向けキャリア自律ワークショップをご提供しております。
御社のリーダーシップ研修の効果を最大化するために、是非このキャリア自律ワークショップをお役立てください。こちらからお気軽にお問い合わせ下さい。

Category

Latest Posts










Share on Myspace このエントリーをはてなブックマークに追加