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『そもそも論』とビジネスコーチング

『そもそも論』とビジネスコーチング

[更新: 2016年10月07日 / カテゴリ: ビジネス・コーチング]
「コーチングって、生き方とかそっちを扱うものですよね?ビジネスリーダーにコーチングって、そもそもなぜ必要なんですか?」そんなご質問をいただくことがあります。もう一方で、ビジネスコーチングに非常に前向きなリーダーもいらっしゃいます。そういった方々がおっしゃるのは、「どうしても一人で考えるのには限界がある。」あるいは、「社内で相談しても、現状の延長線上の話にしかならない。」この違いはどこからくるのでしょう?

『質問モード』に戻らざるを得ないビジネスリーダーの思考

今さら申し上げるまでもありませんが、今日のビジネス市場においては、VUCA【Volatility(不安定)Uncertainty(不確実)Complexity(複雑性)Ambiguity(曖昧性)】の度合いが増し、それらの要素がますます加速しています。それにともない、イノベーションの必要性とその速度が高まり、それまで頼りになっていた仕組みやルールや手法がもはや有効ではなくなります。景気の波や業績の悪化もその一因でしょう。その結果、リーダーの思考は「質問モード」に戻ることを余儀なくさせられます。ビジネスが大きな変局点にさしかかるとき、「自社がそもそも何の会社なのか?」「顧客は誰なのか?」「コア・コンピタンスはどうあるべきか?」に至るまで、ありとあらゆる事について、ゼロベースで大きく問題を考え直す、すなわち自ら「問いかけ直す」必要に迫られるのです。こう言った根源的な問いに対してじっくりと腰を据えて向き合い、対話することで、本質論が浮かび上がってきます。わかりやすく言うならば、「そもそも論」です。では、その「そもそも論」を考えるためにはどのような方法があるのでしょうか?

知っていることだけを整理する限界

実は、人間の脳は、顕在意識で考えていることのみならず、潜在意識の中にある考えを「自分の脳の外側」に出し、さらにそれを自分でもう一度客観視することによって、ようやく自分で気付けるいう構造になっているのです。より簡単に言えば、自分の考えは自分の外側に出して始めて自分で理解できると言うことです。そして、そのやり方は人それぞれです。A 4の紙に思いついたことを書き出す人。誰もいない会議室で一人で一日中ホワイトボードに向かって片っ端から頭に浮かんでくることを書き出す人。敢えて人の多いカフェでひたすらPCにアイデアを打ち込む人。あるいは、ポストイットを使って1人で黙々とブレインストーミングする人・・・。多種多様です。しかしここで、一つ落とし穴があることを指摘しておきたいと思います。それは、自分の頭の中身を書き出すことだけでは不十分だと言うことです。知っていること、知らないこと、考えていること、考えもしなかったこと、それらを相対的に整理することが重要なのです。こう言った、一人ブレインストーミングで本当に自分にとって未知の領域を含めた思考の整理が出来るでしょうか?あるいは、より重要な点として、人は自分の潜在意識の中身を書き出すことが出来るのかという一種の禅問答にもつながります。つまり、知らないことを知ることが出来るか?ということです。思考というのは相対的なものです。顕在意識上にあるものだけがその人の思考ではないのです。顕在意識上にあるものだけを整理することは、今までの既知の状態を単に整理するだけに留まってしまうのです。では、どうするべきなのでしょうか?

対話することの重要性

実は、自分の思考(顕在意識上+潜在意識上)を相対的に整理するために一番良い方法は実は人と対話することなのです。何故ならば、残念ながら人は自分自身に問いを立てることがそれほど得意ではないからなのです。1人でブレインストーミングをしても、自分が気づいている顕在意識の範囲の考えしか出てきません。しかし、正しく問いかけられることにより、無意識に考えていることを元に思考を拡張することができます。つまり、潜在意識に埋もれている思考をうまく引きずり出すことにつながります。そのために重要なことは、様々な視点と思考軸から考えられた『良質な問いかけによる正しい対話』だと言えます。実は、それがリーダーとのビジネスコーチングの本質なのです。以前にも書きましたが、良質な問いかけと正しい対話のために、コーチ側が非常に重要な役割を果たします。一般的なコーチング手法のみならず、ビジネスに対する深い経験とそこからくる洞察の有無が大きな決め手になります。ビジネスコーチの質と言っても良いと思います。

ビジネスにおいてますます高まる「そもそも論」の重要性

ビジネスに関する「そもそも論」の重要性がこれほど高まっていることは未だかつてないと思います。そうした問いかけは、究極的には、今多くの企業が抱えている、非常に根本的な疑問に行き着きます。
「世界や顧客の生活がこれほどに変わっていく中で、自分たちのビジネスは、本当は何なのか??」
そもそも論に向き合うことは、本能的に怖いことです。しかし、その恐怖心を乗り越えることで新しい地平が見えてきます。ビジネスコーチングはその怖さを乗り越えるお手伝いをすることだとも言えるでしょう。

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