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何故「フェルミ推定」がこれから必須の営業スキルなのか?

何故「フェルミ推定」がこれから必須の営業スキルなのか?

[更新: 2017年02月16日 / カテゴリ: 営業改革コンサルティング]

お客様からの反応は悪くないのに、案件が次のステージに移らないのはなぜ?

▲プレゼンはうまく行ったけど、その後が続かない・・・
「今日はありがとう。なかなか良い話だったと思うよ。ちょっと検討してみようと思うんだけどね・・・」

製品やソリューションを提案した後に、帰り際にお客さまからこんなことを言われた経験のある営業職の方は多いのではないでしょうか。反応は悪くないのに、スッキリしない感覚。一生懸命提案しているのに、何故か商談のステージが進まない。お客様の反応は決して悪くないのに、案件や商談が何故かその次のステージに進まない。お客様の悩みに沿ってストーリーを組み立てて、提案しているのに、何故かイマイチ響かない・・・。何故、こういうことが起きてしまうのでしょうか?提案に何が足りないのでしょうか?

営業が最も苦手とするスキルとは?

▲数値化が苦手な営業職の人は意外と多い
それはずばり、「ビジネスケース」を組み立てる力だと言えるでしょう。「ビジネスケース」とは、「投資やプロジェクトを実施するか否かの最終投資決定を行うために必要となる、戦略上、財務上、商業上、技術上、ビジネスオペレーション上およびその他の裏付けデータと分析を提供し、そのプロジェクトや投資が、組織の目的に一致しているという十分な根拠(データ)を示す役割を果たす。」と定義されています。残念ながら、今まで数多くの営業トレーニングを実施した中において、あるいは自身が営業マネージャーであった経験を踏まえても、この「ビジネスケース」を仮説でも良いので、組み立てて数値化し、顧客と共有するスキルを身に付け、使いこなしているケースはごく稀であるというのが現状なのです。

数値化することの意味と重要性

▲顧客ロイヤルティは営業体験が決め手
米国で調査会社としてスタートしたCEBと言う企業は、数多くのグローバル企業における営業とマーケティングのベストプラクティスを追跡調査し、常に良い成績を残している営業の行動特性を抽出し、有意に相関のある行動をまとめて、コンサルティングやトレーニングとして提供する企業であり、弊社もパートナーシップ契約を結んでいます。このCEBの調査によれば、この図にあるとおり、製品やソリューションに関する情報が、ネットで簡単に手に入り、そして製品のスペックにほとんど差がなくなってきている昨今においては、顧客の53%が「ロイヤルティは営業体験で決める」と回答しています。つまり、営業がどのような体験を顧客に提供するかが大きな差別化になってきているのです。単なる製品の機能だけではなく、自社にとってどのような価値をもたらすのか?そして、その価値やインパクトが仮の試算であったとしても、どの程度のものになるのか?そういった営業がもたらす顧客体験が重視されるようになってきています。
顧客の視点、悩み、問題点に寄り添ってどんなに良い提案やプレゼンを作成し、担当者やその上長にうまく伝わったとしても、それはまだ「主観」や「好み」の域を出ないのです。その提案の内容が「検証可能な仮説」として顧客の社内の中で自律的にかつ客観的に伝わらなければ、意味がありません。厳しい言い方をするならば、「なんとなく良いね」は「どうでも良いね」と同義なのです。

フェルミ推定

▲今地球上では何人の人が寝ているか?
皆さんは、フェルミ推定という言葉をご存じでしょうか?詳細は、Wikiに譲りますが、フェルミ推定(フェルミすいてい、英: Fermi estimate)とは、実際に調査するのが難しいようなとらえどころのない量を、いくつかの手掛かりを元に論理的に推論し、短時間で概算することを指します。

1.地球上にアリは何匹いるのか?
2.今地球上では何人の人が寝ているか?
3.日本全国に郵便ポストは何本あるか?
4.東京都23区にある窓をすべて掃除するための必要な人件費はいくらか?

皆さんは、これらをどうやって求めますか?

フェルミ推定では、正確な数値を正解として求めることよりも、そのロジックの組み立てや考え方が重視されます。つまり、重要なのは正解・不正解ではなく思考過程なのです。
仮説や仮の組み立てでも良いので、とにもかくにも、自分が提案している製品やソリューションが、お客様にどれぐらいインパクトがあるのか?
フェルミ推定の様な考え方で、仮の値でも良いので、「お客様固有のビジネスケース」を算出し、顧客への提案や会話の中にきちんと盛り込んでいくことで、担当者の主観ではなく、はじめて顧客の社内で具体的な検討の対象として客観的な評価が始まるのです。

「仮に」の持つ意味と価値

しかし、「大切なお客様に間違った数字を出すわけにはいかないよ」という声が聞こえてきそうです。営業を仕事にしている人にとって一番怖いことは、顧客に否定されたり、断られたりすることです。ですから、仮の数値を出すことにも、大きな心的抵抗が伴うのは無理もありません。
しかし、もし仮の数値で試算したビジネスケースやビジネスインパクトが間違っていて「●●さん、その計算はちょっと違うよ!」とお客様から指摘されたら、どう対応しますか?
「申し訳ありません。失礼いたしました。差し支えなければ、正確なところを教えて頂けませんでしょうか?」と返すしかありません。言うまでもありませんが、売る側が買う側の情報を常に100%把握していると言うことは現実的にはあり得ないことです。昔から言われているとおり、営業は情報戦です。顧客から少しでも置くヒアリングできた方が勝つのです。つまり、この仮のビジネスケースは、提案の説得力を増すためのみならず、顧客からより多くの情報を得るためのヒアリングツールでもあるのです。

プレゼンテーションはどんなに顧客の立場に立ち、悩みや問題点に鋭く迫るものであったとしても、ビジネスケースが盛り込まれていなければ、「スルッと」終わって何も残りません。仮置きのビジネスケースが間違っていたなら、正しいビジネスケースをヒアリングするだけです。
こちら にも書いたように、新製品が出たからと行ってお客様のお時間を頂ける時代は終わりました。単なる情報提供だけでは、時間を割く価値はもうないのです。自分たちの提案の中に、「間違っていても良い。数値でボケてツッコんでもらったら儲けもの」ぐらいの気持ちで、仮置きのビジネスケースをきちんと盛り込む営業活動が、競合と紙一重ではありますが重要な「顧客体験の差別化」につながるのです。「我が社のことを、例え仮置きであったとしても、一生懸命ビジネスケースを考えてくれているんだな」という顧客体験を提供した方が勝ち残ります。

このスキルを身に付けるために

このビジネスケース化のスキルは中期的に見れば、SFA+CRMに埋め込まれたAIが営業に例示してくるようになることでしょう。しかし、それまでの間はまだまだ、営業体験の差別化の要素として、現場の営業が身に付けるべきスキルであると考えています。WorldArxでは、顧客への価値提案の手法はもちろんのこと、こちらにご紹介したような、フェルミ推定を用いて、きちんとビジネスケースを算出できるようなスキルにフォーカスしたユニークな営業ワークショップをご提供しております。御社の営業チームの現状をヒアリングさせて頂き、内容のカスタマイズももちろん可能です。是非こちらからお気軽にお問い合わせ下さい。

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