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企業文化や組織ビジョンと従業員の価値観を「共鳴」させるワークショップとは?
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企業文化や組織ビジョンと従業員の価値観を「共鳴」させるワークショップとは?

[更新: 2017年02月02日 / カテゴリ: グローバル組織開発]

改めて注目される、企業文化やビジョンの浸透

最近、「企業文化を全社に浸透させたいので、ワークショップを企画して欲しい」あるいは、「従業員エンゲージメントを上げるために、ビジョンをもう一度全員で共有し、日々の行動につなげさせたい」というご相談を頂くことが多くなりました。私がかつて在籍していた会社も、素晴らしい企業文化がそこにあり、そこで働く人達は何よりもその文化に根差した行動を取っていたので、その重要性は非常に良くわかっているつもりです。では、何故今、改めて企業文化やビジョンが重要になっているのか、2つの観点から考えてみたいと思います。

会社組織という観点から見た、ビジョンの位置づけと重要性

企業が大きくなったり、成長の曲がり角を迎えたりする場面では、ビジョンを改めて掲げ、浸透させる必要に迫られます。会社の規模がそれほど大きくなく、日頃顔をつきあわせているような頃は、自分たちが目指している会社像が、創業者や社員の心の中にあって、夜遅くまで働いたときや、飲み会の場面などでそれが言葉として明示的に共有されることが多いのです。しかし、様々な出自や価値観のメンバーが増えたり、会社組織が大きくなったりすると、経営層と現場の間接性が増え、元々会社が目指す姿を明文化して伝える努力をしなくてはならない場面に直面します。それがないと、「そもそもうちの会社は何の会社なのでしょうか?」「会社はお金を儲けるだけで良いのか?」という疑念が現場にわき起こりがちになり、結果的には会社のパフォーマンスに大きな影響が出るようになります。

誤解を怖れずに例えるならば、企業のビジョンは本来、社員にとっての「聖典」のようなものだと言えるかも知れません。特に、これから多様性(D&I=Diversity&Inclusion)を重視し、多様な価値観を競争力の源泉としていくような場合こそ、ビジョンが重要となってきます。何故ならば、組織が多様な人達で構成され、そのままの状態ではチームでまとまって力を発揮することが難しいために、ビジョンという「聖典」のもとにチームをまとめ、成果を出すようにドライブするためには、非常に重要な要素となります。
あるいは、さらに誤解を怖れずに言えば、ビジョンは「聖典」であると同時に「踏み絵」であるとも言えます。会社の入り口のところで、集まってくる人達に、このビジョンに賛同できますか?と問いかけているとも言えるのです。端的に言えば、「このビジョンの元に集まれる人は是非。そうでない人は申し訳ありませんが、ご遠慮下さい」というメッセージにほかならないとも言えます。これは、後ほど述べる正社員のあり方にも今後大きな影響を持ちうる可能性があります。

ビジョンに基づく経営をしている企業は、悪い意味ではなく「人は元々はそのままではまとまらないものだ」という立場を起点としていると言うことも可能です。だからこそ、人をまとめ、駆り立てるための文章やイメージやストーリーや起業の目的や出自が必要になります。多様な価値観を持つ社員に一つの方向に向かっていってもらうためには、ストーリーを語り継ぎ、組織文化を伝承していく必要があるのです。

個人が働くという観点から見た、ビジョンの重要性と「志」のありかた

世界の市場がつながったことにより、企業の大多数が、極めて速い、予測不可能な変化にさらされています。また、業務においても劇的な変化と、専門性の細分化がますます進んでいます。その結果、企業は、将来どういう事業がメインのドメインとなり、どのような人材が必要になり、さらには社員にどのようなキャリアパスを歩んでもらえば幸せなキャリアになるのか、どのような優秀な人事パーソンの集まりであったとしても、簡単にはわからない時代が到来していると言えます。つまり、「VUCA【Volatility(不安定)Uncertainty(不確実)Complexity(複雑性)Ambiguity(曖昧性)】な時代の中では、予測可能性と管理可能性が非常に低くなってしまったために、一人一人の社員に幸せなキャリアモデルを用意する事ができなくなってしまったのです。あるいは、もし画一的なキャリアモデルを仮に提供できたとしても、一人一人の生き方、働き方の多様化により、それが必ずしも個人の価値観や働き方にマッチしなくなってきているという側面もあります。また、人が100歳近くまで生きるようになり、会社がかつてのように家族的に、本当の意味で終身の面倒を見ることは現実的に不可能になっています。

だからこそ、これからのビジネス・パーソンはどのような変化の中でも自律的に自分のキャリアのあり方を考えながら働き続けなくてはなりません。会社に頼らなくても自分でキャリアを作っていける力とスキルが必要です。一方で、最近、企業の経営者や人事のトップの方に会うと、こんな話を良く聞きます。「入社してから、30才台ぐらいまでは、一人前のビジネスパーソンとして戦力になるべく、会社が投資することはコミットします。しかし、それ以降は受け身ではなく、『自分が能動的にどういう貢献を会社にできるのか?』を一人一人が考え、提案できるようになって欲しい。今のビジネス環境では、会社から一人一人に適した仕事を提示できるほど、単純ではなくなっている。だからこそ、今の状況の中で、何ができるのか、どのような貢献であるべきなのかを一人一人がプロフェッショナルとして見せて欲しい。もうぶら下がっていられるほどの余裕はない。厳しい言い方ですが、そう考えています。」

2016年の人口動態統計年間推計では、出生数は98万1000人と推計されました。出生数が100万人を割り込むのは、統計を取り始めた1899年以降、初めてであり、これからの日本においては、少子高齢化がますます加速します。それにより、様々な影響が出ることが考えられますが、その中の一つが税収の減少だと言えます。人口減少に伴い、日本は今までのような緻密で隅々まで行き届いた公的サービスを維持することは相当難しくなると言わざるを得ません。そうなると、今までの緻密で行き届いたサービスを、民間企業が肩代わりしたり、コミュニティやNPOという形で引き受けていかなくてはならなくなります。ここで、大きな役割を果たすのが、民間企業やNPOだと思います。社会問題を事業として解決していく。いわば、「志も高く、きちんと利益も上げる」企業や事業がますます増えていくことでしょう。

こう言った環境からも、これからの会社に勤める社員のみならず、「働く人」にとっては、言われたことを淡々と作業としてこなすだけではなく、確固たる価値観と自らがこうしたいという「志」を持ち、主体的に価値創造を組織側に提案し、実行するような働き方が求められるようになります。もちろん、全員が価値創造を求められるわけでもなく、現実問題として全員がそういうことをこなせるわけでもないでしょう。しかし、価値創造を考え、実行に移せる社員が組織にとってより求められるようになることは間違いない方向性だと言えると思います。そして、何よりも重要なのは、組織に属しながらも、自分が何故何のために働いているのか?と言う「志」を常に考えることにあるのではないでしょうか。

組織のビジョンと、働く個人の「志」の接点が組織全体のパフォーマンスを最大化し、個人も成長する

従来は、企業からの依頼は「ビジョンを『浸透』させたい」という内容のものが多かったように思います。これも例えとしては適切ではないかも知れませんが、社員に一方的にビジョンや理念をマントラのように唱えさせる内容を想定している企業が多数だったと言えると思います。しかし、一方的に「浸透させる」という発想はもはや古い発想ではないでしょうか。
先に例えた、企業としての「聖典」や「踏み絵」としてのビジョンと、個人が働く価値観や「志」が同じ方向を向くような施策が必須だと考えます。

正社員のあり方にも大きなインパクトを与える可能性へ

さらに言えば、今後は、その2つは単なる接点ではなくより密接な結びつきになっていくと考えています。WorldArxは、企業のビジョンや文化とそこで働く社員の志のあり方が、これからの正社員のあり方にも大きなインパクトを与えると考えています。少し突飛に聞こえるかも知れませんが、正社員のあり方は下記のようなも大きな変化を遂げると予測しています。

・正社員は、組織ビジョンの実現を自らのライフワークだと決めた人
・他のメンバーは、それぞれの自らのビジョン実現のために、当社に関わる人

今後は、正社員と非正社員の待遇や福利厚生の違いは結果であって入り口ではなくなるでしょう。上記の分類により、結果的に待遇が変わるという順番で考慮されていくだろうと考えています。
これからの時代に重要になるのは、人が共鳴する揺るがない会社のビジョンであることは間違いないと思います。そのビジョンに顧客が共鳴し、働く人が共鳴する。そしてそのビジョンに揺るがないコミットメントをしているのが、経営幹部であり、その経営幹部候補生が正社員という位置づけになるのではないでしょうか。その経営幹部と正社員がビジョンと志の元にしっかり結束すれば、結果的に周りに優れた才能が集まることになると考えます。企業経営という観点から見ても、正社員がすべてという価値観は転換せざるを得ない状況が訪れていると思います。より多様な働き方を我々が受け入れ、異なるスキルや価値観が集結してかけ算としての成果を生み出すためにも、組織はビジョンを大切にし、働く個人が持つ「志」との相乗効果を狙う必要があるのです。

また、個人の成長という観点からも、この点は重要です。自分の志、すなわち価値観が充足される中で、日々新しいチャレンジを続け、ストレッチし続ける。やりがいを感じながらストレッチすることで、その人が大きく成長することにもつながります。

ビジョンが胃の腑に落ちていないと、単なる飾り物に

どんなに素晴らしいビジョンがあったとしても、働く人の胃の腑に落ちていなければ、単なるお飾りになってしまうことは言うまでもありません。また、先程書いたように、働く人一人一人の「志」と有機的に結びつかなければ、日々の行動には落とし込むことにもならず、やらされ感の中では人は成長も出来ません。ビジョンを一方的に「浸透」させるという発想はもはや古い発想なのです。個人のキャリア自律施策の中で、一人一人の「志」を自らが明らかにし、組織のビジョンとどうやって日々の活動の中で共鳴させ、働きがいを見いだしながら、組織にも成果の形で貢献するか。WorldArxは、ビジョン浸透ワークショップの施策のみならず、働く人のキャリア自律にも施策を提供し、「志」を浮き彫りにすることで、ビジョンと志の相乗効果を狙うと言うことを支援策の柱にしていきます。ご参考までに、こちらの記事にお手伝いさせて頂いた事例を掲載しております。是非、こちらからお気軽にお問い合わせ下さい。
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