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御社の部下育成はまだ「俺の背中を見て盗め」型ですか? ~人材育成方法論の都市伝説(2)
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御社の部下育成はまだ「俺の背中を見て盗め」型ですか? ~人材育成方法論の都市伝説(2)

[更新: 2017年05月18日 / カテゴリ: リーダーシップスキル]

いまだに人気のある「俺の背中を見て盗め」

一昨年、営業リーダーへのリーダーシップコーチングをご提供している中でのやりとりです。「自分の背中を見て育って欲しいと思って日々部下に接しているんだけど、なかなか思った通りに育ってくれていない」その方はそう仰いました。あるいは、先日人事の方から「最近の若い人達は、学ぼうという気概がないんですかね。私の頃は、先輩の技を日々盗もうとしていましたし、先輩も教えはしてくれませんでしたが、じっと背中を見せて、俺から盗めと言っていたんですがね・・。」

背中を見せて育てることはもちろん悪いことではないと思います。経験値を伝承するという観点においては、一つの確立された手法であることは間違いありません。しかし、一方では、背中を見せて育てるというモデルも既に限界を迎えているのではないでしょうか?

厳然たる事実としてのビジネスモデルの変化

今のリーダーやエグゼクティブが若手の頃に先輩の背中を見て盗んでその結果として成長したのだとしても、厳然たる事実としてそれは何十年も前の話です。言うまでもなく、絶え間なく変化する「VUCA【Volatility(不安定)Uncertainty(不確実)Complexity(複雑性)Ambiguity(曖昧性)】中で、社会環境は日々大きな変化を遂げています。働き方や、人々の持つ価値観も多様化し、昔の常識は今の非常識になりつつあります。過去の成功体験が現在の人材育成のモデルとしてそのまま通用するという考えはある種非常に危険なのではないでしょうか。今、現場で起きていることは、既に今のリーダーの人達が育った環境と大きく異なってしまっているのです。むしろ、現場の仕事の方が複雑化しているとさえ言えるでしょう。つまり、リーダーが育ったときの経験が今の現場の仕事にはあまり有効ではなくなってきているという面があります。そのリーダーのやり方が既に大きく変化した現在の市場環境にそぐわなくなってきているケースがあります。例えば、企業の購買行動が大きな地殻変動を起こしている中、夜討ち朝駆け型やエグゼクティブだけとの握りをトップダウン型で浸透させるような従来の営業のやり方は通用しないのです。つまり、今のリーダーが育った結果掴んだノウハウやコツが、今の市場環境では使えず、上司が教えようにも教えられないという状況を生んでいるのです。

育て方としての問題

「俺の背中を見て盗め」というやり方の最大の問題は、非常に厳しい言い方をするならば、背中を見せる育て方は、「背中を見せる側の劣化縮小コピー」しか生まれないからです。その背中を見せる側のスキルが今現在も通用するならばそれでも良いでしょう。しかし、その元々のスキルが既に世の中の変化に追従できていないものであるならば、「背中を見て盗め」という言う行為が、結果的に何を生産しているのか、ご説明するまでもないでしょう。

また、「俺の背中を見て盗め」というやり方には、必ずセットとなるセリフがあります。それは「どうして俺がやっているようにできないのだ?」というものです。この「どうして俺がやっているようにできないのだ?」というアプローチには、風評リスクへつながる可能性があります。少し古いデータではありますが、連合による調査(2014年11月28日)全回答者(3,000名)によると、『勤務先はブラック企業だと思う!』と回答している人は実に4人に1人、特に20代では3人に1人が自分の勤務先はブラック企業であると「既に」回答しているのです。人は、過去に乗り越えたつらい経験をいつのまにか美化してしまう傾向があります。そしてさらに輪をかけて悪いことに、自分が人を育てる側になると、「自分の背中を見せているのに、それを学べないのは本人にやる気が無いからだ」とばかりに「本人のやる気に矮小化」したがるのです。これだけ働く人々とその価値観が多様化しているなかで、一方的に古いやり方を押しつけ、そしてそれを本人のやる気のせいにしてしまうようなやり方をやってしまうと、育てる対象が退職するのみならず、ブラック企業とみなされ、あっという間にネットで拡散されてしまうリスクがあります。そうやって育ってきた皆様にこのお話をすると、大きな驚きで受け止められますが、企業としての風評リスクは非常に大きなダメージにつながることは言うまでもありません。

そして、この「どうして俺がやっているようにできないのだ?」というセリフには、マイクロマネージメントの危険性をはらんでいると言う点です。得てして、俺の背中を見て盗めというタイプのリーダーの方は、好むと好まざるに関わらず、プレイングマネージャーであるケースが多いのではないでしょうか。そしてさらに言えば、比較的プレーヤーとして優れている方が多いように思えます。こういう方々が背中を見て盗めと言う姿勢の中で、仮に部下がその通りにできなかった場合、プレイングマネージャー自らが手を下して、仕事をやってしまうケースが非常に多いのです。「率先垂範」というのは良い言葉ではあるのですが、それは同時に人を育てる重要な要素である「任せる」ということの180度対極に存在することでもあり、それはすなわち「部下の成長の機会を奪っている」可能性にもつながっているのです。

あるいは、背中を見せるだけというのは、部下に教える技術が身についていないという可能性があります。つまり、厳しく言ってしまえば、そもそも、「人を育てるスキル」やそのスキルを支える「心構え」として学んだ経験が無い可能性があるのです。

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是非こちらからお気軽にお問い合わせ下さい。また、併せて、こちらの記事も参照ください。
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