リカレントを準備し、実践するキャリア~あなたが『年上部下』になる日
[更新: 2018年12月06日 / カテゴリ:
キャリア自律]
ずばり申し上げましょう。もはや昔のように60歳で会社を幸せに卒業できません。
年金受給開始年齢が繰り下げられることは既に既定路線の織り込み済みとして考えなくてはならないでしょう。つまり、会社を卒業することはあっても、働くことからは卒業できないことは明らかなのです。
現に、「ライフシフトって本を読んで、これから起こる変化は分かったけれど、どうすれば良いのか?」と言うご相談が増えてきています。いくつまでどのくらい働くかは別としても、社会としっかりつながりを持ち、価値を提供して対価を得、日々を暮らしていかなくてはならないのです。企業に勤め続けるのであれば、現場復帰は必ず訪れることが、ごく当たり前になり始めています。
しかし、この現場復帰が大きな曲者なのです。
管理職として長くキャリアを積んできた方々ほど、この現場復帰せざるを得ないという「不都合な真実」を正面から受け止めて考えていらっしゃる方が少ないように思います。
特に、管理職として華々しい経歴を積んでこられていらっしゃる方ほどその傾向が強いと感じています。
複数の実例を少しまとめてご提示しましょう。2パターンあります。
同期入社の中では先頭グループに属し、残念ながら役員にまでは昇格できなかったものの、部長までは昇格。有能な課長やスタッフを部下に持ち、華々しい実績と経歴を持っている人ほど、現場復帰には苦労することになるのです。
何しろ、現場や実務からは遠くしかも長く離れているが故に現場復帰出来ず、あっという間に周りから「使えない年上部下」のレッテルを貼られて、不適合を起こしてしまうのです。
一方で、同期入社の中ではどちらかというとあまり日の当たらないグループに分類される方々。大変失礼な物言いとなり恐縮ですが、努力はしたものの、管理職としての昇進は比較的遅く、万年係長。
しかし、実はどちらかというとこういう人達の方が、人生の後半戦を活き活き、かつしたたかに強く働いているようにお見受けするケースが多いのです。現場復帰も何も、そもそも現場に居続けていた訳なので、担当業務には通暁していますし、PCの操作も社内のシステムの操作にも戸惑いがないのです。年下上司からすると、一緒に働きやすい年上部下という形で、職場に馴染んで活き活きと働いているケースが多いように思います。
そもそも時代の趨勢から言って、今から数年経てば『年上部下』という言葉すら当たり前で人目を引かない言葉になっていることでしょう。
上記のような様々なケースをご支援させて頂く中で、WorldArxは;
「キャリアのレジリエンス(反脆弱性)」をどのように高めていくことが重要なのだろうか?
と言う点が極めて重要な課題設定になりつつあると思うのです。ここでは深くは触れませんが、ナシーム・ニコラス・タレブが書いた「反脆弱性」がこれからの生き方・働き方において、重要な示唆を提示していると考えます。
変化に強く、そして自分のその時々の働き方の現在価値をどうやったら最大化出来るのか?
ここで、WorldArxは、来年から改めて『リカレント』をテーマとして掲げていこうと考えはじめています。
リカレントとは、一般的には、基礎教育を終えて社会人になったのちに、あらためて就労に活かすために学び直し、また就労するというサイクルを繰り返すことである、とされています。
WorldArxは『ことある毎に、自分の働き方や持っている人的ネットワークを棚卸しし、新陳代謝を自ら積極的に計画し、実行に移すこと』だと考えています。
今までの功績、業績、肩書きなどは、今求められる役割やこれからの自分の働き方の中で含み資産なのか?あるいは既に価値のない資産なのか?厳しい現実ではありますが、常に現在価値と将来価値に目を向けなくてはならない時代に突入しているのです。
平成も終わりを告げる今年。敢えて申し上げるなら、平成とは昭和を終わらせ切ることが出来ない30年だったとも言えるでしょう。昭和の時代に生まれ育った私にとっては、2つ前の元号である『明治』と言えば遙か昔という感覚でした。来年から始まる新しい元号から見たら、『昭和』は2つ前の元号なのです。昭和生まれから見たときの明治と同じ距離感なのです。
日本バンザイ、昭和の頃が懐かしい。そういうメディアの内容を見る度に、暗澹たる気持ちになるのは私だけでしょうか。
皆様はご自身のリカレント、どう考えていますか?
今までの功績、業績、肩書きなどを棚卸しし、脱昭和に取り組んでいますか?