AI(人工知能)+ロボットはキャリア自律の夢を見るか?(1)~自動化普及の現状と働き方へのインパクト
[更新: 2016年10月28日 / カテゴリ:
キャリア自律]
▲誰も彼もが仕事のやり方や求められる技術がものすごい勢いで変化する
今回は,エグゼクティブコーチングと,ビジネスコーチング,キャリア自律を同時に手がけるWorldArxならではのお話をさせてください。
世の中が安定し,物事がゆっくり動き,今のように複雑でなかった時代には,人は人生の前半を学びに費やし,そして大人になると自分の仕事を「見つけ」,その後は一生同じ仕事を何度も何度も繰り返す人生だったと言って良いでしょう。しかし,企業が変化に直面し,イノベーションがとてつもない勢いで進む中では,そこに勤める従業員は,ホワイトカラー,ブルーカラーを問わず,専門性のあるなしにかかわらず,そしてあるいは,自営業の人や,果ては求職中の人までも,誰も彼もが仕事のやり方や求められる技術がものすごい勢いで変化せざるを得ないような,とんでもない状況が起ころうとしています。その大きな要因の一つは,AI(人工知能、合成頭脳)とロボットの組み合わせによる自動化普及の波です。(ちなみに,最近のビジネスコーチングでは,この辺りの話題を避けて通ることが出来ません・・・)
AI(合成頭脳)とロボットの組み合わせによる自動化普及の波の現状を見ていきましょう。実は一番速いスピードで開発と普及が進んでいるのは農業の分野です。
Agrobot
~画像認識による,イチゴの最適タイミングでの摘み取り自動化農業用ロボット
Blue River Technologies
~作物と雑草を自動識別し,自動学習する除草ロボット
この他にも,洗濯物をたたむ,皿をすすいで食器洗い機に入れる,モノを袋詰めする,エレベーターを操作するといった作業がどんどん『正確に』『学習しながら』『低コストで』自動化されてきています。ドローン+Virtual Realityの進化により,危険な場所での作業や,さらにはロボットテクノロジーの進化による重労働の自動化も大きな波です。いささか脱線しますが,少子高齢化により労働力不足が叫ばれる日本では,移民による労働力確保が議論されていますが,こういったテクノロジー側のシフトをきちんと認識して議論することが必要であると思います。
これを読んで,頭脳労働のホワイトカラーである自分はまだまだ大丈夫だと思った方向けに,いくつか情報をお届けしましょう。昨今のAIによる労働力シフトの議論の際に良く題材に上げられる,弁護士や医者の一次診断への応用です。静かに確実に変化の波が押し寄せています。一例として,弁護士の分野を見てみましょう。米国ではロースクール入学判定協議会の報告によると,2014年の志願者は前年・前々年を通じて30%も減少し続けています。その一方で,予備的な事例評価,開示処理,文書審査,文書作成,内部調査など時間のかかる法律手続きをクラウド+AI(合成頭脳)で自動化し,超短期間かつ低コストで提供するスタートアップ企業が次から次に生まれています。
以下はその具体的な例です。
FairDoc
~不動産法務手続きの自動化
JUDICATA
~機械学習と自然言語処理技術による判例法案検索サービス
Robot Robot & Hwang
~AIを活用した弁護士サービス(※弁護士紹介のページに行くと、コンピューターが弁護士として紹介されています!)
こういった流れの中で,実は様々な専門職において,ほとんどの『生産的な仕事』 は意外に『機械的』であり,AI(合成頭脳)に任せることが可能だと言うことが次第に明らかになってきているのです。オフィス内の事務職や,あるいは営業職においてもその自動化の波は容赦なく押し寄せるでしょう。その理由の詳細はここでは割愛しますが,対人スキルや説得力の必要な仕事ですら,自動化の対象から完全に免れるとも言い難い状況なのです。例えば,
x.aiは会議設定に特化したAIバーチャルアシスタントで,月4000円程度を払えば,非常に手間のかかる打ち合わせの調整を自分に代わってAIが自動的にやってくれるというもので,まもなくサービスが開始されようとしています。(私はトライアルを申し込みました)
「いやいや,そうは言っても、頭脳労働のホワイトカラーは関係ないよ」と思われているかも知れません。「だって,機械は本当の意味では考えられないでしょ?」と。しかし,これは良くある例え話が良い示唆を与えてくれます。果たして、飛行機は飛ぶために鳥のように羽ばたいているでしょうか?潜水艦は魚そっくりに泳ぐ必要があるのでしょうか?自動車は,たてがみと尻尾をはやす必要があったでしょうか?
明らかに言えることは,AI(合成頭脳)+ロボットのテクノロジーが人の働き方を再び大きくしかも未曾有の形で変えようとしていると言うことだと思います。
では,働く人である我々はこれにどう対応するべきなのでしょうか?(以下
こちらへ続きます)